山中與隆の作品のうちの、時代小説をここに集めています。
1.『都志見往来日記』異聞 と
2.ある兵士の物語
は力作の部類に入るでしょう。
前者1.では、広島県の西部(湯来町など)から北部(北広島町の都志見)にかけてを、江戸時代後期において著名絵師「岡岷山」が写生旅行をした道を辿りながら、絵師師弟の恋物語を描いています。
淡々と、そして静かな熱を感じさせながら物語は進行し、さらりと結末を迎えます。
後者2.では、戦国時代、全中国地方を制覇した毛利元就の時代にこの地方に生きた一人の農民が志願兵として毛利軍に加わり、戦闘で大きく傷つき、また多くの身近な大切な人びとを失いながらも、生きる道をみつけて人生を歩んで行く姿が描かれています。
時代小説としては、さらに2つの作品が含まれています。いずれも、著者が執筆時代に過ごした広島市北部の湯来町や、中国山地の徒歩旅行で見聞した体験を織り交ぜて書いた物語です。どうぞお楽しみ下さい。
3.峠を越えて嫁入りした女
4.三坂峠 二話